慢性b型肝炎の人も運動をしよう

かつて肝臓病を患っている人は、安静第一と考えられていました。しかし、現在、肝臓病では、安静にしているよりも適度な運動をするほうが、肝臓の回復にはいいとされています。慢性のb型肝炎においても同様です。ここでは、自分に適した適度な運動の取り入れ方や、肝機能の状態に応じた注意点などを詳しく紹介しています。


慢性肝炎でも積極的に

肝臓病は、安静が必要な状態にあることもありますが、過度な安静は肥満を招いて脂肪肝になりやすいうえ、全身の筋肉量が減って、むしろ肝臓の負担が増えるということが近年の研究でわかってきました。

そのため、ストレス解消や肥満防止に役立つ運動を病気だからという理由で、避ける必要はありません。筋肉は、体たんぱく質の貯蔵庫です。運動時の主なエネルギー源は、肝臓から補給されるグリコーゲンという糖です。

しかし、肝機能が低下して、グリコーゲンが不足してくると、体たんぱく質を分解してエネルギー源に使ってしまいます。そうなると、筋肉量が減り、身体機能も低下するサルコペニアを招く危険が生じてしまいます。サルコペニアは、骨密度の減少や肥満、耐糖能異常を促進し、肝機能の低下に追い討ちをかけるので注意が必要です。

加えて、慢性のb型肝炎の治療において、核酸アナログ製剤を使用することがありますが、骨密度が低下していると、テノホビルなど使用できない薬も出てくるため、治療の選択肢をせばめてしまいます。したがって、慢性のb型肝炎であっても、肥満や脂肪肝、肝臓の負担を増やしてしまう糖尿病の予防や肝機能の維持のために運動は欠かせないのです。

ただし、b型肝炎から肝硬変に移行している場合には注意が必要です。肝硬変でも運動は必要で、肝機能が一定以上になると、たんぱく質の代謝に伴うアンモニアの処理、糖質の代謝などの肝臓の仕事を筋肉が代行してしまうことがわかっています。

ですが、肝硬変により、すでに筋肉量がかなり低下している場合は、無防備に運動をすると肝臓に負担をかけて余計に進行してしまうこともあるので、医師に相談することが大事です。

運動量の目安はどれぐらいか

適度な運動というのは、毎日、無理なく続けられて、肝機能の低下を招かない運動です。運動量は、肝機能の状態を示すALTとASTの値を参考に決めていきます。基本的にb型肝炎ウイルスに感染していても、無症候性キャリアや非活動性キャリアの人たちは、ALTとASTの値が正常値であれば、特に運動の制限はありません。

それ以外の人でも、ALTとASTの値が100以下であれば、ゴルフやテニス、スイミングやジョギングなど、ほとんどの運動が可能です。そして、ALTとASTの値が100から200であれば、まずは軽くストレッチなどからスタートし、ウォーキングや平地のみのサイクリング、軽い筋力トレーニングなどを中心に取り入れていきます。

ただし、持続的に数値が上昇している人や200を超えた場合には、運動は控えるようにし、医師と相談のもと再開できる時期を探るようにします。

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有酸素運動を取り入れて

運動可能な肝機能の状態であれば、好みのものを取り入れてかまいませんが、肝臓に良いのは有酸素運動です。呼吸とともに取り込む酸素を使用して、体内の糖や脂肪をゆっくりとエネルギー消費していく運動になります。運動習慣がほとんどなかった人でもスタートしやすいのは、ウォーキングです。

息を切らさずに続けられる速さで歩けば、筋肉に乳酸もたまらないので、疲労を蓄積することなく、肝臓の負担も軽減できるので、無理なく継続できます。おおむね、一日の適正エネルギーの10パーセントから20パーセントを消費できるぐらいの運動量が目安になりますが、あくまでも適度が条件です。

明らかに翌日に疲れが残るようならやりすぎです。ウォーキングであれば、一日に15分程度からスタートさせて、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしたり、歩く速度を速くしたりして調整していきます。適度な運動とは、うっすらと汗をかき、心地よい疲労感がある程度と考えておくことが大切です。

運動に慣れてきたら、筋肉を増やすトレーニングをしていくのも一つの方法になります。自分の体重の重さを使って筋肉に負荷をかけて収縮を繰り返すなど、最初はジムなどで専門家のアドバイスを受けながら、やり方を学ぶと安心です。

楽しんでできるものを

有酸素運動を行いながら、筋力をアップできる方法もあります。慢性のb型肝炎の治療対象となる中高年でも手軽に出来るのは、インターバル速歩です。3分間隔でゆっくり歩くのと速く歩くのを交互に繰り返していくウォーキング法です。

肥満解消や筋力アップ、高血糖・高血圧の改善効果も明らかにされています。しかし、どんな運動でも、楽しく出来ないと長続きしません。これまで運動とは無縁の生活をしてきた人が、やらなければならないという義務感を背負うと、ストレスになってしまいます。

適度に楽しみながらできる運動は、仲間とおしゃべりをしながらのウォーキングや自分のペースで楽しめる全身運動としてのスイミング、音楽に乗って踊る楽しみのあるダンス系の有酸素運動など、様々です。ほかにも、深い呼吸とともに筋トレとストレッチ効果のあるヨガや太極拳など、自分が好きな運動を見つけることが大事です。

心がけておきたいこと

運動は無理してやる必要はありませんが、軽く体を動かすだけでも心身のリフレッシュになるものです。改まって運動をすると意識するのではなく、散歩がてらにウォーキング、掃除しながらストレッチというようなスタンスでスタートするのも一つの方法です。

また、運動する前には必ず準備運動をして、筋肉をほぐすようにします。そして、インターフェロン療法や核酸アナログ製剤の一時的な副作用により、だるさを感じたり、うつうつとした気持ちのあるときや、風邪気味のときは運動を中止することも大事です。

加えて、屋外で運動をするときは、体内の抗酸化力が落ちないように紫外線対策もきっちり行うようにします。また、肝臓の疲労回復をスムーズに行うために、良質な睡眠も必要です。運動と休息のバランスをきちんととりながら継続していくことが重要です。

仕事が忙しいときなどは、運動量を少し減らすなどして調整します。